たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2024/3/9~3/16 冬の「春霞」にけむる3彗星。

2024-03-24 | たまおの星便り

 
 3月に入ると好天と荒天が交互にやってきた。変わりやすい天候ながら3/9、10と3/15、16は二夜連続で朝まで晴れた。
 午前2時過ぎに海岸に着くとまず、西に傾きかけた62P紫金山第1彗星を狙う(画像上左)。以前より暗く拡散してきたうえに現在はおとめ座の「銀河の巣」を移動しているだけあって似たような彗星状天体に紛れて見分けにくい。南の空、てんびん座には秋に1等星なみに明るくなると予想されているC/2023A3紫金山-アトラス彗星がいまだ暗い12等級でひっそりと輝いている(画像上右)。
C/2021S3ンスターズ彗星は幅広い尾をたなびかせながら東天に横たわる夏の天の川を遡っている(画像上中)
 今回の星空航海では困惑した出来事が2回あった。15日未明、観測場所の近くに
軽自動車が1台、ヘッドライトを煌々と点灯したままで朝まで停まっていた。機材に直接光が当たらないように体で常にカバーしながら撮影を続けねばならなかった。
 16日はよく晴れていたが2等星の北極星がよく見えないほど空の透明度が悪かった。霧や靄が出ているかといぶかったが犬吠埼や遠く大東崎の灯台の灯りも見えていて地上の大気は澄んでいた。「気象衛星赤外画像」や「ひまわり霧画像」でも目立った雲は見えない。黄砂やPM2.5濃度をチェックしても異常値ではなかった。前日15日と当日16日の午前3時半頃、北東、高度15度のはくちょう座ζ付近を撮影した画像を比較してみた(下画像)。16日はあきらかに星の輝きが鈍く写っている星の数が少ない。
夜空だけが春霞に覆われてしまったかのような晩冬の一夜だった。

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