たまおの星便り-星海原の航海日誌。  

日毎夜毎、船橋から房総九十九里へと繰り出し、星空を駆け巡る観測日誌。

・2023/11/14~24 銀河や星団をすり抜ける未明の彗星たち。

2023-12-06 | たまおの星便り

 11月もおおむね晴天が続いた。台風や大雨も少なく日中は20度を越えて汗ばむ日が多かった。薄明開始が4時40分過ぎと遅くなったこともあり、日付が変わってからゆっくり家を出て寝静まった街道を太平洋に向かって東進する。 
 新月の14日は午前2時過ぎに海岸に到着した。気温は+4℃、風はないが防寒服に軽く身を包んで機材を海の見える高台にセットする。
 今の時季、未明の空には南に冬の星座、東に春の星座が輝いている。おおいぬ座のシリウス近くにはC/2017K2パンスターズ彗星、うみへび座の孤独の星アルファードの北には103Pハートレイ彗星、黄道十二宮のかに座には62P紫金山彗星と暗い29Pシュワスマン・ワハマン彗星がひっそりと光を放ち、動いている。
 時々、こうしたうごめく彗星たちが見かけの上で太陽系外の星の集団(散開星団や球状星団)や天の川銀河の外にある別の銀河のそばを通りかかることがある。16日には62P紫金山彗星が「蟹の吹き出す泡のように見える」プレセペ星団の極く近くを見かけ上、通り抜けた(画像上左)。21日には103Pハートレイ彗星が1.5億光年彼方にあるNGC2721銀河の前を通り、C/2017K2パンスターズ彗星が小さく密集した散開星団NGC2215の近くの空を移動していた(画像上中、右)。
 ほとんどの彗星は太陽系の中を移動する天体だが、天空にひしめく何千光年、何億光年も彼方にある天体の傍らを人知れず走る抜ける
姿を見ると宇宙のたとえようもない広がりを実感する。

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