付け焼き刃の覚え書き

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「玉葱とクラリオン2」 水月一人

2024-05-10 | 異世界転移・召喚
「大概、人類の発展は戦争とセットであることが多い。争いの火種だけ作って、はいサヨナラってわけにもいくまい」
 元の世界に戻る気まんまんの但馬波瑠は、この世界に技術を導入する責任を負いたくない。

 詐欺で捕まったハルは、製紙事業を導入する条件で国王から恩赦を受け、早速に水車小屋が動力に使えるか確かめることに。しかし、案内役の騎士ブリジットに水車小屋への案内を頼んだ途端に彼女は不機嫌になってしまう。行ってみれば納得。街に唯一ある水車小屋は売春窟となっていたのだ。
 そのあたりは地球の中世ヨーロッパあたりと同じ経緯だ。そこでハルはフリルのついた黒いマイクロビキニの美少女、アナスタシアと出会う。
 アナスタシアは親の借金を背負って売春宿で働くことになったが、もともとは知り合いの兵士シモンの幼馴染みだったのだ……。

「アンナじゃなくて、アナスタシア……」
 ナースチャと呼ばれることの多いアナスタシアだが、アンナとはあまり呼ばれたくない。

 1巻ではネズミ講を異世界に導入しようとして捕まった主人公ですが、モノ作り救世譚がいよいよスタート。しかし、紙漉きのために水車小屋の動力を使おうと来てみれば、世捨て人とジャンキーの蔓延る阿片窟の売春宿であった……という2巻。今回は「円天……」などと口走りつつも真面目に製紙事業を始めますが、実はこの世界、森ができると野蛮なエルフが湧くので木材が不足していて……といきなり暗礁に乗り上げます。
 イラストはアナスタシア推し。表紙に大きくアナスタシア。巻頭カラーイラストでさらに売春窟での初登場シーン。1枚めくった見開きイラストで後ろ姿。本文でもう1回、水車小屋の初登場シーン。さらに何枚か。出自が出自だけに、ここでしっかりキャラをアピールしていこうというところでしょうか。
 もちろんそれ意外もしっかり描かれてます。シモンが高らかにクラリオンを鳴り響かせるシーンとか、ブリジットが面接会場にやってくるところとか、大事なシーンはちゃんと抑えてます。ここ大事。
 作品ごとにエルフの定義も設定もさまざまですが、この作品のエルフはその中でも極北に位置してます。ドワーフはだいたいどの作品でも同じで、男女の違いが作品ごとに違うことはありますががっしりした体格で身長は低め、物作りとかが得意で頑固者というあたりは共通。でも、エルフは本当に違うんですよね。定番の長寿で魔法と知識に秀でた種族かと思えば、辺鄙なところに暮らしている田舎者とかいろいろありますが、これだと本当にただのバケモノです。
 世界の秘密とか社会システムと技術の関わりとか書き込んでいく作品ですが、まだまだ先は長いです。楽しみに待ちましょう。

【玉葱とクラリオン~詐欺師から始める成り上がり英雄譚~2】【水月一人】【黒田ヱリ】【HJ NOVELS】【超本格異世界ファンタジー】【小説家になろう】【円天】【蒸気機関】【竹】【売春宿】
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