リートリンの覚書

日本書紀 巻第二十 渟中倉太珠敷天皇 三 ・王辰爾、高麗の上表を読解する



日本書紀 巻第二十 渟中倉太珠敷天皇 三

・王辰爾、高麗の上表を読解する



十五日、
天皇は、
高麗の表䟽(ふみ)を執って、
大臣に授けました。

諸々の史(ふひと)を召集して、
読解させました。

この時に、
諸々の史は、
三日のうちに、
皆、読むことができませんでした。

ここに、
船史(ふねのふひと)の祖、
王辰爾(おうしんに)が
よく読み釈(と)き奉りました。

これによりて、
天皇と大臣は俱(ともに)讃美して、

「勤しむや、
辰爾(しんに)。

懿(よ)きかな、
辰爾。

汝が、
もし学をこのまなかったら、
誰が読解できただろうか。

今から始めて、
殿中に近侍せよ」
といいました。

既に、
東西(やまとかわち)の
諸々の史(ふひと)に詔して、

「汝等の習った業(わざ)が、
就(な)すことができなかった。

汝等は衆(おお)いといっても、
辰爾に及ばず」
といいました。

また、
高麗の表䟽は、
烏の羽に書いてありました。

字は、
羽が黒いままで
既に識(し)るものはいませんでした。

辰爾は、
すなわち、

羽を飯(いい)の気で蒸して、
帛(ねりぎぬ)を羽におして、
悉くその字を写しました。

朝廷はことごとく異(あや)しがりました。



・史(ふひと)
「ふびと」ともいう。・1 古代、朝廷で記録・文書をつかさどった役。また、その役人。2 古代の姓 (かばね) の一。多くは渡来人に与えられ、文筆に従事した者たちの姓。
船史(ふねのふひと)
船氏(ふねうじ/ふなうじ)は、「船」を氏の名とする渡来人系の氏族。
・業(わざ)
ここでは学業



(感想)

(敏達天皇元年)

15日、
天皇は、
高麗の国書を執って、
大臣に授けました。

諸々の史(ふひと)を召集して、
読解させました。

この時に、
諸々の史は、
三日のうちに、
皆、読むことができませんでした。

ここに、
船史の祖、
王辰爾が読み解き奉りました。

これによりて、
天皇と大臣はともに讃美して、

「よく勤めてくれた、辰爾よ。

素晴らしいぞ、辰爾よ。

お前が、
もし学を好まなかったら、
誰が読解できただろうか。

今から始めて、
殿中近侍せよ
といいました。

既に、
東西(やまとかわち)の
諸々の史(ふひと)に詔して、

「お前たちが習った学業で、
成就することができなかった。

お前たちは数が多いといっても、
辰爾一人にに及ばない」
といいました。

また、
高麗の国書は、
烏の羽に書いてありました。

字は、
羽が黒いままで、
字が書いてあるとは、
誰も知るものはいませんでした。

いくら、文筆に従事した人々でも。

カラスの羽に字が書いてあるって、
普通わかりませんよ。

学業の問題では無く、

高麗の情報をよく知る人物でないと
わからないと思います。 

辰爾は、
高麗国に精通していたのですね。

辰爾は、
すなわち、

羽を飯(いい)の湯気で蒸して、
柔らかい上質の絹を羽に押して、

悉くその字を写しました。

朝廷はことごとく
不思議がりました。

今日のお話、
カラスの羽に国書とは…
興味深いお話でしたね。

情報漏洩を防ぐ知恵でしょうか?

当時の人々の生活が分かり、
大変勉強になりました。

次はどんなお話が
書いてあるのでしょうか。

明日に続きます。

読んで頂き
ありがとうございました。


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