日々のできごと。生物準備室より

理科教育、生物教育に関して考えたことをぼちぼち更新。たまに授業実践報告をします。

系統樹思考の世界

2022-03-21 14:42:33 | 最近読んだ本

久しぶりの更新となってしまいました。

公民科の同僚とのちょっとした雑談の中で、紹介された一冊です。

系統樹とは、時間的な変化をたどった経路図を示す図のこと。

目指すは”最良”の説明
系統樹とは要するに何なのか?ーーーと問われたとき、それはある現象に対する説明であると私は即答することにしています(p.181)

”正しい”ではなく”最良”と強調されているのは、
アブダクション(abduction)という推論スタイルをとっているから。

分類思考と系統樹思考に関して、
ヒトには”ヒト性”、サルには”サル性”がという「本質」があると仮定する心理的本質主義に触れながら次のようにまとめています。

心理的な本質主義が人間の認知性向であるとみなされるかぎり、進化的思考ならびに系統樹的思考は必然的に認知的基盤はもたないと言わざるをえません。つまり、私たちは生まれながらの分類思考者だから、系統樹思考は「ものの見方」として意識的に採用する必要があるのです(p.125)

中学理科でも高校生物でも、「比較・分類」は繰り返し出てくるワードです。
「系統」なのか「分類」なのか区別できていると(自分では)思っていますが、
提示する教材が意識して表記されているのか、自分自身が何となくで発信していただけなのか、ハッとさせられました。
また、推論スタイルとして、演繹や帰納に続く重要なスタイルであり、
多分、物理や化学の授業では育む機会が少ないスタイル、というかスキルであると改めて感じました。


作品の中での系統樹は、書体であったり歴史であったり、生物の進化をだけを扱ったものではありません。
以前、授業見学先で「パスタ系統樹」らしきものを拝見したことがありますが、
あれは視点が「系統」だったのか「分類」だったのか・・・
認識のメガネを持っているようで持っていなかったようです。



 

 



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