自民党が「金持ち優遇」と「企業優遇」にメスを入れる…!? “不自然な動き”から透けてくる政府の「腹のうち」
政府・与党で急に盛り上がってきた増税論議の背景などを解説した記事。
先日報告書を出した「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」がきっかけなのだそうです。
「増税論議がタブー視されなくなったきっかけは、岸田総理自身の決裁で9月に発足した「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の存在だ。この有識者会議設置の目的は、政府として台湾の有事の際に想定される事態に対して、今から省庁横断で備える体制を作ることという。さらに、その背景として、岸田総理は当初から「必要となる防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていく」と説明していた。」
「この会議は早くから、防衛費を増強するための「安定財源の確保」を重視してきた。」
有識者会議の検討状況を受けて、自民党の税制調査会が、増税論議を開始したそうです。
「同会の宮沢会長は10月の段階で、新聞各社のインタビューに応じて、「それなりの規模となれば、主な税を(財源に充てることについて)適当か不適当か議論しなければいけない」と述べ、幅広い増税に含みを持たせていた。そして、インナーと呼ばれる大物政治家だけの非公式会合で、納税者への飴(=あめ)の位置づけである少額投資非課税制度(NISA)の拡充策の検討を進める一方で、防衛費拡大の安定財源として金融所得課税の強化と法人税率の引き上げを他の税目に先行して検討してきた経緯がある。」
法人税については...
「次に法人税の税率引き上げ議論をみておこう。こちらの背景には、およそ30年続いてきた法人誘致のための法人税引き下げ競争という世界的な動きの巻き戻しが始まったことがある。米バイデン政権が発足直後に、GAFAMと呼ばれる米IT大手に対して、諸外国が課税することを容認する姿勢を打ち出したことを受けた動きなのだ。
日本の法人税収額に話を移すと、そのピークはバブル経済の崩壊直前だった1989年の約19.9兆円だ。これに対して、今年度(2022年度)予算ベースでは13.3兆円にとどまっている。こうした法人税収額の減少の背景にあったのが、ピーク時に43.3%あった法人税率が23.2%に引き下げられてきたことなのだ。国際的な法人税の引き下げ競争に日本も追随してきていたというわけである。」
炭素税も議論に上がっているそうですが、本気ではなさそうです。
「自民党税調が本格的な炭素税の導入論議を検討していると新聞で活発に報じられていることも、ちぐはぐな印象が付き纏う。
というのは、炭素税導入を推進すべき前環境事務次官(環境省の事務方トップ)の中井徳太郎氏が9月1日付けで、日本最大のCO2排出企業と言われる日本製鉄の顧問に就任する”事件“があったからだ。これにより、両者の間に、何らかのディールがあったのではないかとの憶測が流れており、関係者の多くが炭素税の導入そのものをすでに絶望視しているからである。」
デフレかつ消費税以外は減税という時代から、インフレかつ大増税という時代になっていくのかもしれません。もっとも、社会保険料も税金の一種と考えれば、少しずつ増税されているともいえますが...。