魂魄（こんぱく）の塔近くの鉱山で予定される開発が注目されるのは、採取された土砂が名護市辺野古の新基地建設で、埋め立てに使われる可能性があるからだ。沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表によるハンガーストライキをきっかけに、市民の関心も高まっている。戦没者に寄り添う県民感情と、行政の許認可という法的対応。来年に知事選を控える玉城デニー知事は「人道と法理」のはざまで難しい対応を迫られている。

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ハンガーストライキ中の具志堅隆松代表（左）を、グータッチで激励する玉城デニー知事＝６日、那覇市・県民広場

　鉱山周辺では、昨年９月から具志堅代表らが遺骨収集作業に当たってきた。今年２月からは県が収集を始めており、すでに十数個の骨片が見つかった。

　具志堅代表は土砂に遺骨が混じる懸念から「軍事基地建設に使うのは、戦没者への冒涜（ぼうとく）」と批判する。

　政府は土砂の調達場所は決まっていないとしつつ、南部から調達する場合も「採石業者においてご遺骨に配慮した上で、土砂の採取が行える」（菅義偉首相）としている。

　採石業関係者からは「南部の土砂は他の事業にも使っているのに、なぜ辺野古だったらだめなのか」との指摘も上がる。

　知事は県議会で「県民の心を深く傷つける。到底認められない」と強調。「全庁的に取り組む」とする一方、６日に具志堅氏を激励した際に「（対応策を）見つけられない場合はどうするかも含めて」検討していると漏らすなど、頭を悩ませている。

　県が行政手続きと民意のはざまで苦慮したケースは過去にもある。２０１７年９月、辺野古へ資材を海上運搬する業者に、県が国頭村奥港の岸壁などの使用を許可した際は、反対する市民から抗議が殺到した。

（政経部・大城大輔）

（写図説明）ハンガーストライキ中の具志堅隆松代表（左）を、グータッチで激励する玉城デニー知事＝６日、那覇市・県民広場