哲学の科学

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長期目標について(5)

2024-04-20 | yy95長期目標について


そもそも、社会システムの永久化という概念が実行不可能なのでしょうか?

家康の後、百年くらいは徳川システムの長期目標は着々と達成され完成に近づいていると思われていました。しかしその後、十八世紀になると、歴史上、天下泰平と呼ばれる時代になる。家康の目指した長期目標が忘れられてきます。保守安定志向が強化されるばかりとなりました。
長期目標とそれを支える倫理に飽きが来ます。徳川システムつまり公儀の権威に対する恐怖心が弱まる。役人も怠惰になってきます。

古臭くなった徳川システムの長期目標は見えなくなり、結局は、新しい目標が望まれるようになります。
それが対外国意識、国力、国際序列意識、ナショナリズムへ発展していきました。

幕末最先端の攘夷論者吉田松陰は以下の持論を語っていました。
国は発展しなければ衰退する。幕府の鎖国主義は誤りである。成長なければ縮小あるのみである。蝦夷からカムチャッカに侵攻し朝鮮と満州を取り、台湾、フィリピンに進んで内外に進取の勢いを示し、ともに栄え、その住民をいつくしみ社会人を育成してこそ善く国を保つことができる。(一八五四年 吉田松陰「幽囚録」)
伊藤博文ほか、松陰門下生が構築した明治政府はこの帝国主義を推し進めて、五十年後、日本を世界列強(一九一九年ベルサイユ条約五列強:英仏伊米日)に押し上げました。









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