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カテゴリ:タイランド旅観察記録
ランパーンの町にある屋台で、気になる日本風の食べ物があります。
それは、「たこ焼き」「クレープ」「寿司」「今川焼き」の4品です。 日本人の姿など丸で見掛けないランパーンと云う庶民的な町でこれらの日本風の食べ物が売られているところに興味を覚えました。 タイ人がタイ人に向けて日本風の食べ物を作り、売られていると云うのが滑稽でした。 以下はランパーンで売られている日本風味4品です。 ■ タコヤキ “タコヤキ”として売られていますが、たこは入っていません。 値段は5個10バーツ(約30円)。 具は人参、玉蜀黍、かにかま、胡麻。ふりかけとソースをまぶして出来上がり。 日本のたこ焼きは外側がパリッとしていて、中はふんわりと云うのが美味しいとされていますが、この「タコヤキ」は中までパリッでした。 形もちょいと歪。 肝心のお味はと云うと、甘い味付けでした。「タコヤキ」とは名ばかりで、日本のたこ焼きとは別物です。 たこ焼きに入れるべき食材をタイで揃えるのは困難である。よってその食材の代用で済ませるしか術が無い。代用、代用で試行錯誤が見られますが、味はイマイチでした。 期待はしていませんでしたが、期待していない通りの味でした。 ■ クレープ・イープン 「クレープ」はフランスのブルターニュが発祥の地と言われていますが、そこからどういう経路を辿って、日本に伝わったのか知りませんが、本場のクレープをもとに日本のクレープが出来て、更にそれがタイに渡って「クレープ・イープン」(日本クレープ)として売られている。それは、カレーがインドからイギリス経由で日本に伝わったように、本場のそれとは大きな懸隔があるものへと変化してしまっていると感じました。 「クレープ・イープン」…直訳すると「日本クレープ」となります。然し、日本のクレープとは幾らか相違していました。これは「クレープ・イープン」ではなく「クレープ・タイ」ではないかと容喙したくもなりました。 タイのクレープに日本のクレープの美味しさを求めるのは、駄菓子屋のヨーグルにヨーグルトの味を求めるのと同じくらい無理なお願いなので、思考を変えてこれはタイのクレープなのだと思えば、まあそれなりに美味しいものだと感じました。ちょいと甘過ぎるのが難ではありますが。 「クレープ・イープン」はタイ各地で売られている事から、庶民の味になりつつあるのを感じました。或いは、もう既に庶民の味になっているのかも知れません。日本同様若者に人気のようです。 クレープ屋の数は割と多くあり、ランパーンの町の中心に5,6軒はあると思います。 そのうちの4軒を食べ比べてみました。どの店も、具を2種類入れると10バーツ、3種類だと15バーツと云う料金設定で味もスタイルも同じような感じでした。数十種類の具の中から好きな具を選び、注文する仕組みです。 ふんわりした生地ではなく、パリパリしているのがクレープ・イープンの特徴。 この店は恐らくランパーンで最も売れているクレープ屋。後ろは学校。下校時は学生たちが押し寄せ、大繁盛します。 赤と緑の謎の具は、トマトを砂糖漬けにしたものだそうです。そこにタイの甘いマヨネーズを塗っています。 何故か、どの店もウルトラマンや戦隊ヒーローがキャラクターに使われていました。 以上がクレープ・イープンですが、バンコクのアヌサワリーチャイ近くのセンターポイント内にあるクレープ屋ではこれとは異なる日本のクレープを忠実に再現した日本風のクレープが売られています。値段は35~60バーツ程。日本人旅行者から仄聞したところ、これはクレープ・イープンとは違い、生地が柔らかく、多少はタイ風が入っているものの、可也日本のクレープに近い味だそうです。 ■ カオ・パン(寿司) 「カオ」は「米」、「パン」は「捏ねて型を作る」と云う意味です。 カオ・パン(すし)にはタイ米orもち米(カオニャオ)どちらが使われているのか気になっていました。 この時、初めてタイ米が使われていた事を知りました。 粘りがあり、米同士がくっつき易い日本米の特徴を活かして作ったのが寿司。それをパサパサしたのが特徴で米同士がくっつき難いタイ米で寿司を作ってしまうと云うのは可也無謀な挑戦だと思いました。 くっつかないタイ米を無理矢理くっつけるとなると水分を多く炊きあげると云う無謀な手段を取らなくてはなりません。結果、べっちゃりした米の寿司が出来上がってしまいます。 3個入りで10バーツ(約30円) 醤油の代りにこの「たくみあじ」が使われています。 醤油と云うより照り焼きソースと云った味でした。 少し甘味が強いのが気になりました。 たこ焼きにもこのソースが使われていました。 ちょっと残念な味でした。 ■ カノム・クロック・イープン たこ焼きに形が似た甘~い焼き菓子カノム・クロックと云うがあります。それにイープン(日本)を付けてカノム・クロック・イープンとなったそうです。日本版カノム・クロックと云う事でしょうか。恐らく他に好いネーミングが無かったのでしょう。 これはタイ各地で売られているようですが、数は然程多くないと思います。ランパーンの町にはこの一軒しかないらしいです。 これは今川焼きを模倣したのだろうと思います。今川焼きは日本各地で様々な呼び名があるようです。大判焼き、小判焼き、回転焼き、二重焼き、おやき等々。 カノム・クロック・イープンは今川焼きより少し小さいので小判焼きといったところでしょうか。 幼少時、家の近所で「おやき」と云うのがありました。小学生の間では今川焼きの贋物と呼んでいました。「おやき」は今川焼きを小型にしたものでした。カノム・クロック・イープンはその「おやき」のような感じがして懐かしい味がしました。 1個2バーツ(約6円)と激安。 タコヤキ、クレープ、すし、と残念な味が続きましたが、この今川焼きもどき、否、「カノム・クロック・イープン」は可也気に入り、何度も買いに行きました。夕方6時から毎日営業との事ですが、店のおばさんが可也気紛れのご様子で、買いに行ったが店が出ていないなんて事が幾度もありました。 今川焼きとは多少相違していましたが美味しかったです。 中身は、プアック(タイの山芋)とクリーム(タイ風カスタード)の2種類。以前はあんこもあったとの事ですが、値段が高くつくので売るのを止めてしまったそうです。 以上のお店に日本人や外国人が訪れる事は皆無です。タイ人がタイ人に向けて売られている日本風の食べ物なのです。どれも“なんちゃって日本食”と云った感じです。 タイ人の日本の食べ物に対する誤解が広がってしまいそうな気がしました。 以前、アントーンという町へ行った時、日本食を食べた事があると云う高校生に出会いました。その日本食の感想を訊いて驚愕しました。「日本食は油っこい」と言うのでした。私は思わず「ありえねぇ~」と言ってしまいました。その高校生は1度だけ日本料理屋で日本食を口にした事があると言う。店員も料理人も全てタイ人の店だったと言うのだから仕方が無い話かもしれない。その油っこい料理の正体は「ショウガヤキ」との事でした。これは料理人の匙加減で油っこくなってしまったのだと思いますが、このたった一度の日本食で、この高校生の脳裏には「日本食は油っこい」と云う印象がこびり付いてしまったのでしょう。 日本の本物の味を知らないタイ人が試行錯誤で日本風を作ってしまう。多少の憂いはありましたが、まあ、それはそれで好いのではないかと思いました。日本の外国料理だって本場の人から見れば、日本風にアレンジされてしまった酷いものかも知れません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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