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カテゴリ:ウクライナ戦争
「AERA」作成した記事(「ウクライナ史・ロシア史の専門家で、東京大学法学部の松里公孝」及び軍事評論家の前田哲男へのインタビューに基づいた記事)。私自身は、湾岸・イラク戦争と同様、ひたすら「米英」中心にみえるウクライナ戦争報道に疑問を感じてきましたが、このたびの記事は比較的公正なものとして読めました。内容を紹介します。 〔要約・紹介〕 ウクライナ史・ロシア史の専門家で、東京大学法学部の松里公孝教授がこう指摘する。 ・プーチン氏が当初狙ったのは、レジームチェンジ戦争。ゼレンスキー政権を屈服させるか転覆して、クリミアとドンバスの現状を認める傀儡政権にすることだった。 ・しかし、ウクライナの抵抗に遭って失敗すると、ドンバスの防衛に集中すると言いながら、実際には領土拡大戦争を始めた。飛び地のクリミアを陸上でつなぐ回廊を確保するために、ザポリージャ州、ヘルソン州まで併合。現代の国際法は、場合によっては分離を認めるが、領土併合は認めない」 ・ロシアが10月に併合したドンバス2州は、2014年に急進派が「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」樹立を宣言⇒ウクライナとの内戦を経て実効支配地域を確保。 ・ロシアは08年、武力紛争の末にセルビアから独立したコソボの例を挙げ、分離紛争への介入を正当化してきた。 ・コソボ独立は国際司法裁判所(ICJ)が合法とする判例があり、ドンバスの分離政体の主張は議論の余地がある。14年のクリミア併合も現地で強まった分離運動と協力して達成したもの。しかし、ザポリージャ州、ヘルソン州併合はいかにしても正当化できない。 (ドンバスの)分離紛争に発展したのは、13年に始まった「ユーロマイダン革命」の影響が大きい。ウクライナとEUの連合協定調印を、当時のヤヌコビッチ大統領が取りやめたことに端を発する。革命派(マイダン派)は激しい抗議活動を行い、暴力事件が多発。翌14年、キーウの独立広場周辺で、狙撃によって数十人が犠牲になる虐殺事件が発生。ヤヌコビッチ氏はロシアに亡命。 オデーサでは労働組合会館前で座り込みをしていた反マイダン派をマイダン派群衆が襲撃。火炎瓶で40人以上が焼死した。マイダン派が特徴的だったのは、事件の凄惨な光景を撮影・録画して盛んにSNSで公開していたことだ。松里氏が説明する。 「映像を見たクリミア、ドンバスの住民の多くはロシアに移るという3月の住民投票での自分たちの選択の正しさを確信し、ドンバス住民たちもロシア移行論がますます強くなった。親欧米か親ロかではなく、革命暴力からいかに逃げるかが最大の関心事になった」 ロシアはクリミアを併合したが、当初、ドンバスはウクライナに復帰させるつもりだったという。だが、ドンバスでは内戦が起き、暴力がさらに拡大。15年2月に調印されたミンスク合意では、ウクライナ国内でドンバスに特別な地位を与える恒久法が採択された。 19年12月、パリでプーチン氏とゼレンスキー氏は初めて顔を合わせた。ゼレンスキー氏がミンスク合意を履行する意思がないことを伝えると、プーチン氏は激怒。平和的解決を放棄することにつながったという。 開戦から9カ月。双方の死者数が増える中、泥沼化を回避して停戦する道はないのか。ゼレンスキー氏は15日のG20サミットにオンラインで参加し、「ロシアはすべての軍隊と武装勢力を撤退させなければならない」と訴えた。だが、松里氏は前述のような経緯から、クリミアとドンバスをウクライナに戻すのは無理ではないかという。 ■過去にもあった「核クライシス」 「たとえドンバスがウクライナ側に戻っても爆弾を抱え込むようなもの。ドンバス住民のほうの人権状況も悪化する。国際法と住民の幸せが一致しない。新しい国境を双方が承認することが大切だが、難しい課題だ」 結局、14年以降8年間のクリミアやドンバスのように「非承認国家・地域問題」は残る。 「私は、少なくとも国際社会が非承認国家・地域住民の人権を無視するのはやめてほしい。彼らは戦争捕虜が拷問死しても国際法廷に訴え出られない。・・・学生は留学の権利がないし、子どもが難病になっても海外で治療を受けさせることができない」(松里氏) たとえ停戦が成立しても、問題は続く。 もう一つ懸念されるのは、通常兵器で苦戦するロシアが「戦術核」のカードを切ること。 軍事評論家の前田哲男氏は、戦争の歴史から得た教訓として「武器の3原則」を唱える。(1)つくられた兵器は使われる兵器である(2)負けそうになった側はあらゆる兵器を使う(3)一度使うと止めどもなく使ってしまう──。 実際、“核クライシス”は何度か起きかけている。前田氏が説明する。 「記録を遡(さかのぼ)ると、米国の現地軍の司令官は核の使用を何度も進言している。典型的なのは朝鮮戦争で、核の使用を主張して解任されたマッカーサー。その後、ベトナム戦争・・・湾岸戦争でも核使用の進言があったが、そのたびホワイトハウスは却下。今回のウクライナ事態でクレムリンはどう判断するか。いま各国の指導者たちは心もとない」
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2023.03.13 19:44:44
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