ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

企業が講じるべき新型コロナウイルス対策

2021-01-03 17:59:09 | 労務情報

明けましておめでとうございます。
本日掲載するのは、昨年2月に執筆したものの、事情が急変し、当ブログに掲載しそこねてしまった記事です。
現状の新型コロナ対策としてはふさわしくありませんが、
その時点では適切なアドバイスであったと今も確信しておりますし、
将来、同様の事態が起きた時の参考としても、ウェブ上に残しておきたいと思いました。
この点をご理解のうえでお読みいただければ幸いです。
本年もよろしくお願いいたします。


 新型コロナウイルス感染症が、指定感染症として定められた。厚生労働省の発表(令和2年2月7日)によれば、国内では25人の感染が確認されている。
 これを受けて、民間企業(医療機関等を除く)は、どのような対策を講じるべきだろうか。

 まず、従業員全員に向けては、一般的な感染症対策と同様、「手洗い・うがい・咳エチケットの徹底」を呼び掛けておきたい。
 この呼び掛けは、もちろんこれらの実施により職場で感染症が蔓延しないようにすることが目的なのだが、会社が従業員の健康を気遣っているとアピールすることにも大きな意味がある。

 これに加えて今般の問題に特有の対策として、潜伏期間と言われる14日以内に湖北省に滞在していた従業員や湖北省滞在者と濃厚接触した従業員については、保健所に連絡したうえで対応できる医療機関で受診させるべきだ。
 その結果、感染していることが確認されたら、感染症法により都道府県知事から就業制限を受けることになる。この場合、就労しなかった日については、「ノーワーク・ノーペイの原則」により、特約の無い限り、無給で差し支えない。

 対応が難しいのは、「感染の疑いがある」という者(例えば、家族が湖北省滞在者と濃厚接触していた従業員など)だ。
 こういう者に関しては、本人が「休みたい」と言っているなら欠勤としてもよいし、本人の希望または労使協定に基づく計画付与によって有給休暇を取らせることとしてもよい。
 その一方、本人が就労を希望しているのに会社がそれを拒否するなら、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」ということになり、原則として通常の賃金を、特約(就業規則を含む労働契約における定め)があっても6割以上の休業手当を、支払わなければならない。とは言っても、他の従業員に感染させてしまうリスクを考えれば、このような従業員は出勤させないのが得策だろう。
 また、実際に感染・発症した者が無理してでも出勤しようとするのを防ぐためにも、こうした場合の賃金や休業手当の支払いを惜しむべきではない。

 なお、在宅勤務が可能な業態であれば、そうするのが、本人と会社の双方が納得できる結果となろう。
 あるいは、在宅勤務の導入を検討中の企業では、テスト実施してみる良いきっかけとなりうるかも知れない。

 現時点(令和2年2月7日)では政府は「流行が認められている状況ではない」としているが、油断は禁物だ。
 必要以上に騒ぎ立ててもいけないが、打てる策は打っておくべきだろう。

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