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定年制を廃止することのメリットとデメリット

2024-05-03 09:59:56 | 労務情報

 ネット上に「2025年に65歳定年が義務化される」と書いている記事を見掛けることがあるが、これは誤り(もしくはミスリーディング)であることを、まず指摘しておきたい。
 高年齢者雇用安定法は、その第8条で「定年の定めをする場合には当該定年は60歳を下回ることができない」と定めており、これは来年になっても変わらない。ただ、同法第9条第1項第2号の「65歳までの継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度)」については、平成25年4月1日時点において継続雇用制度の適用基準に関する労使協定が締結されていた場合はその基準に則って対象者を選定することが可能であるところ、その経過措置が令和7年3月31日で終了するということなのだ。(同法附則(平成24年9月5日法律第78号)第3項)

 ちなみに、令和3年4月1日に改正施行された同法第10条の2では、70歳までの就業を確保することを事業主の努力義務としている。

 さて、こうした情勢を踏まえて、定年延長を検討している会社も多いと思われるが、中には、定年制そのものを廃止すること(文字通りの「終身雇用」)も選択肢に入れている会社もあるだろう。 経済協力開発機構(OECD)が1月11日に公表した『対日経済審査2024』でも、日本企業における定年制の廃止について言及している。

 では、定年制を廃止することにはどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。 以下に整理してみる。

【定年制廃止のメリット】
  1.雇用が確保できる(OECDはこれを提言している)
  2.従業員の知識・ノウハウを活用できる
  3.採用や教育に係るコストを削減できる
  4.従業員が安心して働き続けられる

【定年制廃止のデメリット】
  1.能力の衰えた者でも雇い続けなければならない
   (状況次第では解雇や退職勧奨も可能だが「事業主都合での離職」として扱われる)
  2.人件費(賃金・退職金等)が増大する
   (これを解決しようとすると「労働条件の不利益変更」になる可能性がある)
  3.人事が硬直化し、若手従業員のモチベーションが低下する
   (一方で高年齢従業員のモチベーション維持も考えなければならない)

 何事にもメリットとデメリットはあるものだが、こと「定年制」は、日本の雇用慣行として根付いてきたものなので、廃止するにしても熟考を重ねたうえで判断するべきだろう。


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